江ノ電・稲村ケ崎駅1分、エリア特性に合わせた性能、間取りで東京から人を呼べる物件

江ノ電・稲村ケ崎駅1分、エリア特性に合わせた性能、間取りで東京から人を呼べる物件

江ノ電稲村ケ崎駅から見えるほどの距離に土間アトリエのあるメゾネットの長屋が新築された。各戸間を広くとったゆったりした作りは周囲からもひときわ目立つ。相場に合わせて地元の人を呼ぶのではなく、東京から人を呼べる質を意識したという物件を見学させていただいた。

賃料を最大化、長く住んでもらうことを目指したLANIKAI VILLAGE INAMURAは江ノ電稲村ケ崎駅のすぐ近く、江ノ電線路沿いに立地している。元々は一戸建てが建っており、しばらく駐車場になっていたが、それが売却され、購入した人が賃貸住宅を建設した。

第一種低層住居専用地域が中心の、規制のある土地であることもあり、590㎡という広さに木造2階建ての住戸が5戸。かなり贅沢な造りである。

「当初、土地の売主はハウスメーカー施工による、ごく一般的なプランを買主に提案したのですが、それでは面白くないというオーナーからの意見があり、地元に強い不動産会社・丸山アーバンに相談、そこから話が来ました」と設計監理に当たった一級建築士事務所NEWESTの野田京子氏。

野田氏の提案にはいくつかのポイントがあった。まず、大きかったのは断熱性能。賃貸住宅の場合、多くの投資家は投資額を押さえて利回りを狙いたがる。そのため、住んでみないと実感できない、見えない性能については投資をしない。

だが、同物件の場合、オーナーは長く住んでもらえるかどうかを判断基準にした。冒頭で贅沢な造りと書いたが、規制の多い用途地域であることに加え、鎌倉市には独自のルールもあり、そもそもそれほど多くの戸数は建たない。だとすると一戸当たりの賃料を挙げ、長く住んでもらうことがもっとも投資を効率化することになる。

幸い、湘南エリアでも江ノ電沿線は人気があり、コロナ禍以降はさらに選ばれるようになっている地域でもある。だとしたら、土地の特性を最大に生かし、高くても選ばれる、価値の落ちにくい高品質な物件を作り、長く保持しよう。それを基本方針としたのである。

そこで温熱環境にはこだわった。といっても自宅と違い、収益も考えなければいけないため、費用対効果を考えたバランスの良い投資にする必要がある。そこで断熱性能などに詳しいパッシブデザインプラスに関わってもらい、アドバイスをもらった。

「コスト調整時にアルミサッシは良いモノを入れるけれど壁面の断熱ボードは少し薄くするなど、必須部分と多少削れる部分について費用対効果を考慮して仕様を決めました。

建設前の温熱環境のシミュレーションでは年間でもっとも気温が下がる日の1階土間で平成28年省エネ基準で11度となるものをこの家では15.9度に保てるレベルになっています。逆に一番熱い日では34~35度が32度です」。

また、建物完成後には気密試験を行い、想定している性能が保たれているかの確認をした。